過去3回に渡りフレアハンドルの特徴や選び方をご紹介しましたが、今回はハンドルセッティングに関するお話です。
快適なグラベルライドを楽しむには、走行するコースに合わせたセッティングが重要となります。
例えば、「アンバウンドグラベル(アメリカ)」や「ニセコグラベル(北海道)」のような平坦な砂利道が多いコースでは、空気抵抗を減らすセッティングが有利です。
一方、「グラインデューロ(群馬)」や「グラベルクラシックやくらい(宮城)」のような未舗装の林道やシングルトラックが多いコースでは、空気抵抗よりも操作性や安定性を重視したセッティングが求められます。
今回は、グラベルバイクでテクニカルな下りを含む林道やシングルトラックを快適に走るための、ハンドル幅・ハンドル角度・ステム長について解説します。
※今回の記事はセッティング編のため、フレアハンドルの特徴やモデルの選び方の詳細は過去の記事をご覧ください。
グラベルバイクのマストアイテム!フレアハンドルを使うメリットとは?
■ハンドル幅
テクニカルな下りの走行には、操作性と安定性に優れた広めのハンドル幅が適しています。
しかし、広すぎると腕や肩が疲れやすくなるため注意が必要。まずは肩幅+20~40mmを目安に選ぶのがオススメです。
フレア角が大きいハンドルを選べば下ハンドルポジションで十分な握り幅を確保できるため、過度に広いハンドルを選ぶ必要はありません。
■ハンドル角度
横から見た時にハンドル上部が地面と平行になる角度が基本です。
ロードバイクでは空気抵抗を減らすために平行~やや前下がりが好まれますが、グラベルバイクの場合はやや前上がりがオススメです。
前上がりにすることでブラケット位置が高くなり、楽な姿勢を保てます。
過度な前上がりは下ハンドルポジションでのブレーキ操作時に手首に負担がかかるため、違和感が出ない範囲で調整しましょう。
レバーが遠くて指が届かない場合は、リーチを調整してレバーを近づけることができます。
【余談】
ロード用コンポをグラベルバイクに載せ変える方も多いですが、フレアハンドルの性能を最大限引き出すにはGRXがおすすめです。
GRXのSTIレバーはフレアハンドルに最適化されたレバー形状を採用しています。
ブラケットの特殊なテクスチャーやブレーキレバー表面の滑り止めコーティング塗装(一部グレードは非採用)により、安全性やコントロール性が強化されているのも大きな特徴です。
Di2仕様のSTIレバーは、反り立ったブラケットヘッド形状の採用やレバー軸の位置変更などの工夫が施され、握りやすさやコントロール性が更に向上しています。
予算に余裕があればご検討下さい。
■ステムの長さ
ステムの長さは、ハンドル操作のレスポンスや乗車姿勢に大きく影響します。
一般的に、長いステムは高速走行時の安定性が高い反面ハンドルの反応が鈍く、テクニカルな下りには適していません。
一方、短いステムはハンドルの反応が良く、曲がりくねった道やシングルトラックなどでも、軽快かつ思い通りにバイクをコントロールできます。
また、ハンドル幅を広くすると腕が左右に広がり、上体が前に倒れて前輪に加重がかかるため、下り坂で転倒しやすくなります。
転倒を防ぐにはステムを短くして上体を起こし、前輪への加重集中を防ぐことが重要です。
急な下り坂は特に転倒しやすいため、腕と足が伸び切らない範囲で腰を後ろに引き、前後均等な加重を意識しましょう。
■まとめ
テクニカルな下りを快適に走るには、ハンドル幅、ハンドル角、ステム長の3つの要素を体格やライディングスタイルに合わせて調整していくことが大切です。最適なセッティングは人それぞれ異なるため、いろいろ試しながら、最高の組み合わせを見つける必要があります。
完璧なセッティングを見つけるのは簡単ではありませんが、試行錯誤する過程も自転車の醍醐味と言えるでしょう。
あなたも自分だけのベストセッティングを見つけて、グラベルライドを思いっきり楽しんでください!