XTRのSPDペダルは何が違う?スタックハイト・軸長の違いを徹底解説

SHIMANO

SPDペダルを交換するだけでも、ライディングポジションやペダリングの感覚が変わることがあります。特に、シマノの最上位モデルであるXTRグレードのSPDペダル「PD-M9200」は、アップグレードによって得られる恩恵を感じやすいです。

この記事では、SPDペダルの使用感を大きく左右する「スタックハイトの低さ」と「軸長」について詳しく解説します。

PD-M9200の特徴

圧倒的なスタックハイトの低さ

スタックハイトとは、自転車のペダル軸の中心から靴底までの距離を指します。この距離が短いほど「スタックハイトが低い」と表現され、ペダル軸と足裏が近くなるため、よりダイレクトな踏み心地と効率的なパワー伝達が期待できます。

シマノのSPDペダルの中で、PD-M9200は最もスタックハイトが低いモデルの一つです。例えば、エントリーグレードのPD-M520のスタックハイトが17mmであるのに対し、PD-M9200は15.1mmと、その差は約1.9mm。この僅かな差が、ペダリングのダイレクト感やパワー伝達効率に大きく影響し、よりロスなく力を推進力に変えることができます。

そのため、PD-M9200に交換するだけでも「力がダイレクトに伝わる」といった性能向上を体感できるはずです。

SPD-SLと同じ軸長の「ショートアクスル仕様」を選べる

PD-M9200のもう一つの大きな特長が、シマノのロード用ペダルSPD-SLと同じ軸長の「ショートアクスル仕様」を選べる点です。

通常より3mm短いショート軸を使用することで、ペダル間の距離であるスタンス幅(脚の開き具合)を狭く調整できます。特に、長距離ライドやシクロクロスを走る方にとって、疲労軽減やペダリング効率の向上に繋がる大きなメリットとなります。

自分の体の構造や好みに合わせて軸長を選べるのは、最上位モデルであるPD-M9200ならではの大きな魅力と言えるでしょう。

オフセットビンディング

スタックハイトの低さを追求すると、ペダル軸とビンディング機構の間のクリアランスが狭まり、泥詰まりしやすくなるという課題が生じます。しかし、PD-M9200はこの点も妥協していません。

PD-M9200を含むハイグレードSPDペダルに採用されている「オフセットビンディング」技術は、ペダル軸の断面を楕円形にし、さらにビンディング機構をペダル軸の中心から約1.4mm後方へオフセットすることで、スタックハイトを低く保ちながらも、泥や砂の詰まりを軽減するクリアランスを確保しています。
※ケージが付いたトレイル/エンデューロモデルは除く

これにより、オフロード走行が多いシーンでもクリートの着脱がスムーズに行え、PD-M9200の高い性能をあらゆるコンディションで維持できます。

なお、オフセットビンディングを採用したペダルに交換すると、クリートの固定位置がつま先側に移動します。最高のパフォーマンスを得るためには、ペダル交換後にクリート位置の再調整が必要になることを覚えておきましょう。

複数バイクでSPDペダルを使い分けるときの注意点

PD-M9200は優れた性能を誇りますが、複数台の自転車を所有していて、それぞれ異なる種類のSPDペダルを使っている場合には注意が必要です。

PD-M9200と他のSPDペダルでは、スタックハイトやビンディング構造、そして軸長のオプション有無が異なります。これにより、バイクごとにポジションやペダリング感覚に差が生じます。特に同じシューズを使い回している場合、微妙な差が身体に負担をかけるリスクも考えられます。

もし可能であれば、他のバイクもスタックハイトや軸長の近いペダル、あるいは同じPD-M9200に揃えることを検討するのも良いかもしれません。

ペダル交換後はポジション調整で最高のパフォーマンスを引き出そう!

このように、シマノPD-M9200は、スタックハイトの低さ、選べる軸長、そしてオフセットビンディングといった特長により、ライディングパフォーマンスを大きく向上させてくれる可能性を秘めたペダルです。その一方で、ペダル交換によってライディングポジションやペダリングの感覚が変わるため、最高のパフォーマンスと快適性を得るためには、ポジション調整が必要です。

もしご自身での調整に不安がある場合や、どうしても違和感が解消されないときは、プロショップでのフィッティングサービスを受けたり、自転車の購入先に相談するのがおすすめです。PD-M9200のポテンシャルを最大限に引き出すためにも、ぜひ専門家のアドバイスを活用してください。

PD-M9200へのアップグレードは、単に部品を交換するだけでなく、自身のペダリングやポジションを見直す絶好のチャンスです。ぜひPD-M9200で、より効率的に、より快適に、そしてパフォーマンスを最大限に引き出したサイクリングを楽しんでください!

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