皆さんこんにちは!フカヤブログ担当★です!
今回は久々の開発者インタビューシリーズをお届けします!取り上げる製品はコチラ…!箕浦製「クロウスタンド」です。
開発を担当したフカヤの発明王M先輩からお話を聞いてきました!
まずは簡単に「クロウスタンド」について製品概要。
MTBなどの太目のタイヤを想定したディスプレイスタンド。
タイヤの受け部であるアームがシーソー構造になっている為、身長や体型などによる力の有無に関わらず、フルサスペンションバイク・E-MTBなど、重量がある車体でも安心してお使いいただけます!
車体の保持には前輪・後輪、どちら側でも使用可能。
反対側のタイヤ受けは27.5~29インチまでホイールサイズに応じて位置の切り替えが可能。折り畳みが可能でコンパクトに収納できる優れものです。
★ではでは、M先輩、CWS-1000 CLAW STAND(クロウスタンド)についてお聞かせください。
どうぞ、聞いてください。
①
★まずこれを聞かなければ始まらないですね。クロウスタンド開発のきっかけは何だったのでしょうか!?
一言でいうと、MTBのスタンドにこれが一番使いやすい!と、いうものが無かったことかな。
他社も含めて展示スタンドはたくさん種類があるけどね。
実は、MTBってスポーツサイクルの中でもかなり進化が先行している自転車で、今のロードバイク、グラベルバイクはMTBの技術を使っていることが多いんだよ。
最近はディスクブレーキが流行っているけれど、MTBは20年前にはディスクブレーキを採用しているんだ。
それで、MTBはある程度進化が行きつき、形態も決まってきている中で、今は大体の人が車輪の径を29、27.5、26インチから選ぶことになると思う。
同時に、スタンドにもある程度決まった答えが既にあるんだ。
じゃあミノウラもそれに倣って作れば問題無いのではとはならないのが…大人の世界。
実はすでに特許があってその領域では作れないんだよね。
★あー大人の事情ってやつですね。
そこでミノウラはどうしたか。
最近のクランクは中空になっているからそこにさせる事に気が付き、クランクの中心に差し込む”スピンドルスタンド・SPN-20”を立案したんだ。
これなら後輪を置いてしまうスタンドと違ってクランクの軸にさすから車輪を回すこともできる!
これで解決、MTBスタンドはこれで完成…!めでたし。めでたし。
★あれ、話終わってしまいましたけど…?
…というのがここ数年の話だったんだよね。
最近になって今までのスタンドでは対応できない新たなニーズが生まれたんだ。
★新いしいニーズですか?
そう、フルサスペンションやE-MTBなど重量のあるバイクはクランク内部が中空でない為、スピンドルスタンドで刺すことが出来ない事。
それから、フルサスのバイクは車輪も大きくなってきている。
ダウンチューブとの間を広げるために、年々ジオメトリーのヘッドアングル(フォーク角度)が寝てきているのも要因かな。
そうすると前に突き出ている形状になるので、ハンドルの切れ角も大きくなり、少しでもハンドルが傾くとそのままスタンドごと倒れてしまう…!ということも。
★それはスタンドの意味が無いですね…それで開発を?
そう。今までのスタンドでは安定しなくなってしまった。
E-MTBも同様にヘッドアングルが寝ているのでE-MTBをしっかり置けるスタンドが無い。そういう意見が販売店からあった結果、開発を始めたんだ。
ミノウラの製品はニーズが生まれたから作るものと、普及する車種を予測して作る製品があるけどこれは後者の製品になるね。
3~5年後にスタンダードなスタンドになっていればいいなと思うかな。
スタンダードなスタンド、言いにくいなこれ。
②
★クロウスタンドがオススメできる点、強みはどこになりますか?
ハンドルが切れ込んだ時に足が踏ん張って支えるように設計されている事かな。
見てもらうとわかるけど、後足より前足のほうが長いよね?
これはヘッドアングルに左右されたときに、踏ん張れるようにしてあるんだ。
ちょっと想像してみて、自転車屋さんってどうやって自転車を並べている?
えーと、一列にずらっと並んでいるイメージです。
そうそう、圧縮陳列してずらっと並べているよね。
その自転車ってハンドルを切ってあること多くない?
あ、確かに!!
もしMTBを同じように並べたら、ちょっとハンドルが切れた時にそのまま倒れて一列全部将棋倒しなんてことにも…
しかもMTBのハンドル幅は広いから、お客さんが少し引っ掛けたりしたときにそのまま倒れるなんてことになりかねない。
洒落にならないでしょ?そんなスタンドでは話にならないよね。
そういうことを想定して作っているというのが一番の強みかな。
あとは、差し込む溝によって、主流の27.5、29インチのタイヤどちらにでも対応できる。
他所のスタンドは29インチにあわせて、27.5インチは大は小を兼ねる理論であることが多いからね。
③
★シーソー構造のスタンドは珍しいですよね。
シーソー構造は今後マウンテンバイクのマーケットで主力商品になるだろう「フルサスペンションのE-MTB」を想定してシーソー構造にしたんだ。
E-MTBは持ち上げようとすると20kg程度はあるので男性でも持ち上げるのが難しいってことがあるからね。
④
★理想の形となるまで、試行錯誤をされたと思います。どのような点にこだわりましたか?また、苦労した点はありますか?
こだわった点としては、E-MTBのサンプルバイクを自社で持っていなかったことかな。サンプルが無ければ製品を試せないよね。
じゃあどうしたか…、試作品が出来るたびにショップへ意見を聞きに行ったんだよ!!
うわー、それは大変ですね…
大変だったよー。しかもショップ毎に全然違う意見が出てくるから落としどころを探るのには本当に苦労した。
もうひとつは価格だね。これはクロウスタンドに限った話ではないけど…
ぶっちゃけ良い物を作ろうと思えばいくらでも作ることはできる。
けど、それに比例して価格も吊り上がっていってしまう。
例えばこれ、「¥50,000です」と言われたら買う気になる?
さすがに高いですよ。
でしょ。でも反対に「¥5,000です」だったら?
当然安いと思うかもしれない、だけど2週間で壊れたりしたら納得はしてもらえないよね。
確かにそうですね。そんな品質だと大切なバイクを立てるのも怖いですね。
そういう価格と品質のバランス調整をメーカーと詰めていくのが一番苦労するんだ。
実際、僕は高くても¥10,000を超える事は反対だったけれど、この品質で作ろうと思うとそれは不可能だと言われた。
最終的な落としどころとしては¥13,200になったんだ。
でも40~80万円クラスのE-MTBを乗る方からしたら、安全には変えられないし、高い・安いの基準も変わってくるのかなと思うな(笑)
⑤
★ラストの質問です。ずばり開発者としてはどのような人に使ってもらいたいですか、またはおすすめですか?
やはり、E-MTBを車に積んでライドに向かう人、つまりマウンテンバイカーかな。
MTBを乗る人って車で現地に行くことが多いと思うけど、それを車から降ろした時バイクはどうする?
あー僕はよく車に立てかけます。
わかる、それやりがちだよね。
よく友人とMTBを乗りに出かけるけど、みんな僕の車に立てかけるんだよね。
その代償に僕の車は傷だらけだよ…。
特に、ロードバイクと違ってMTBってハンドルバーエンドやペダルもギザギザ気味だし余計にね。
というわけで、僕的オススメの使い方は車から降ろした後のMTBをどこに置いたら良いかを解決するスタンドとして使うのがいいかな。
もちろん室内でも使えるけど、室内保管であればバイクタワーでしてもらえればよいからね。
★Mさん、今日はありがとうございます!!
これから普及するバイクを見据えて開発しているとは思いもしなかったです。
引き続き他の製品開発のお話を聞かせいただければ嬉しいです。
よろしくお願い致します!
MINOURA
「CWS-1000 CLAW STAND(クロウスタンド)」
推奨ホイールサイズ:27.5インチ~29インチ
推奨タイヤ幅:2.25~2.6インチ
展開サイズ(最大):幅480x長さ780x高さ360mm
価格:13,200(税込)