新入社員「★(ほし)」の【開発者の方にいろいろと聞いてみました】インタビューシリーズ 第二回「DAVOS FBS-1」

皆さんこんにちは!フカヤ新入社員の「★(ほし)」です。

今回も引き続き自品の勉強をしていく過程で疑問に思った事や調べてみた内容をフカヤブログの場をお借りしてユーザーの皆様と共有できたらと思います。
2回目となる今回、セレクトしたアイテムはこちら!フカヤオリジナルブランド【DAVOS】から「FBS-1 フロントバックサポーター」です!


※FBS-1 フロントバックサポーター

「FBS-1 フロントバックサポーター」はフロント部にバックを取り付けた際に重みで垂れ下がってタイヤに擦ってしまう事を防ぐサポーターです。
設置も簡単でヘッドパーツ上部にあるコラムスペーサーの間に挟みこんで取り付けるだけで、レールは上下と前後に調整可能でほとんどのフレームサイズ、ステム長に対応している優れものです。…と、すごいとは思うのですが自分にはまだまだ勉強不足でぱっとすごさのイメージができません。未熟…
そこで今回も製品を掘り下げるため、立案・開発者でもあるM先輩に直接お話を聞かせて頂きました!

:Mさん本日もよろしくお願いします。「FBS-1 フロントバックサポーター」についてお話を聞かせてください。
わかりました。何でも質問をどうぞ

★:形状からすると「GP-1」同様、荷物を運ぶためのものですか?
「GP-1」はケージ、つまり荷物を運ぶための物だったけど、「FBS-1」は原則サポーターという位置づけだね。

★:サポーター?
キャリアでもケージでもないから荷物を載せることをメインとして作られてはいないんだ。

★:キャリアでもケージでもない…なんのための製品かよくわからないです。
あらら(笑)
「FBS-1」が何のための製品か、一言でいえばフロントバックが垂れ下がってタイヤに擦ることを防ぐサポートアイテムなのだけど…
詳しく知るためにはまずフロントバックについて触れないといけないかな。
なにせ”フロントバックサポーター”だからね。

★:では開発経緯と併せて説明お願いします!
まずはフロントバックの事から説明するね。
当時スポーツサイクルがブームになった時、サイクリングに必要な物はサイクルジャージのバックポケットに詰めていくのが大前提でコアなユーザーほどリュックを背負って行くのはナンセンス!だと思っていた。
ロードバイクは余計な物をつけない、スタイリッシュにしておくのがあるべき姿というのが一般論だった。
で、その後ポタリングが流行り始めていくのだけど…あ、ポタリングってわかる?


※フロントバック:ACEPAC

★:ポタリング…のんびり走るサイクリングってイメージです。
そうそう、知っていてよかった (笑
サイクルジャージを着てガッツリ走る…というよりも観光名所やお店を回りながらのんびりと走るのが目的のサイクリングだね。今だとSNSに写真を上げたりしながら走るんじゃないかな。
で、ポタリングをするユーザーはサイクルジャージよりもカジュアルな服装で乗ることが多いんだ。そんな時、スマホや財布、その他小物類はどうする?

★:ポケットにいれる…にも限界がありますよね。女性は持ち物が多いかもしれない。
そうだね、サイクルジャージを着ずにサイクリングをする、つまりバックポケットの無い状況でスマホや財布、工具なんかを入れる場所が欲しいとなった時に生まれたのがフロントバックなんだ。
元々シートバックやサドルバックなんて物もあったけど、予備のチューブや工具を入れるための物で財布やスマホを入れるようなスペースは無かった。

そういったゆるポタのような運動強度を必要としないサイクリングユーザーからのニーズが増えるにつれてフロントバックも流行っていったんだ。

★:なるほど、そのバックを支えるのが「FBS-1」の役割なんですね。
そういうことだね。フロントバックはどうしても重みで垂れ下がってしまうから「FBS-1」で下からサポートしてタイヤにあたらないようにするというのがイメージできたかな。


※フロントバックをFBS-1で支えた状態、鞄が垂れ下がらずタイヤに擦らない。

それで開発経緯の話だけど、実際に僕もフロントバックを取り付けてみたんだ。
すると様々な問題に気付いてしまった!!

★:自転車ガチ勢の性(さが)ってやつですね!!
性…!自転車に取り付ける以上妥協はいやだからね(笑
まず大きな問題は、前面にバックをつけるのでハンドル位置につけたライトはバックが邪魔をして路面を照らす妨げになる!各メーカーからアダプターを出して対応をしていたけれど主張が強い製品が多かったね。

★:例えばどんな製品が?
例えばハンドルの上部から伸ばしていってフロントバック越しに路面を照らせるアダプターとか。解決したように思えるけどフロントバックは上部から開閉するのだからアダプターのステーに干渉して開けにくくなる別の問題もあった。

※サポーターの下部にライトを取付けた図。この位置ならフロントバックを開閉する妨げにならない。また、ライトも鞄に妨げられることなく照らすことが可能。

また、フロントバックはマジックテープでハンドルに固定する程度なので保持力が無い。
スマホや財布を入れて走ると横揺れでバックも揺れてしまう。そこでバックとフレームを紐で括り付ける事で揺れを抑えていた。
けれどステアリングを切って右、左へ動かすとフレームに押し当てられているバックが擦れてフレームに傷がついてしまう問題もあった。これはかなり嫌だったね…

あとはフロントバックってかなり大きなほんとにフロントに付けられる、これ!?っていうサイズから小、中の主流サイズまであるのだけど、そのサイズに合わせてステー自体を稼働させて紐では抑えきれない物までカバーできるステーが欲しいと思ったのもあるかな。

以上のような点をメーカーに報告して提案した結果、じゃあ作ってみようとなったのが経緯かな。

★:開発でこだわった点をおしえてください。
経緯とも重なるけどユーザーからのニーズで作成しているという点だね。
例えば、販売店・ユーザーにリサーチした結果だけど、身長の低い人(特に女性)はフレームサイズ480mm、460mmあたりを乗るためハンドルにバックを付けた時点で底部がフロントホイール上部にあたってしまいバックが擦れ続けた結果破れてしまう…!という意見があった。
反対に僕みたいにフレームサイズが大きく、540mm、560mmを乗るユーザーはヘッドチューブも長くなるからそれだけでフロントバックからタイヤまで大体10cm程の余裕ができる。
よくありがちな話が鞄を付けた状態でぎりぎり当たらないから大丈夫だと思ったユーザーが走行中に段差等ではねた際にナイロンのバックがタイヤに擦り続けた結果、破れてしまうという事例だね。
なので、様々なフレームサイズに合わせて長さ、高さの調節も簡単に行えるようにしてある。
こういうユーザーからの意見を吸い上げて製品にしていくのは常にこだわっているよ。


※ネジ位置を変えるだけで長さと高さの調節も可能になっている。

また、外観を損ねないというのもこだわっているかな。
フロントバックをつけていない、サポーター単体の状態でもプレートの重ね方など違和感が無いように仕上げているんだ。

★:取り付け方、外し方はどうなっていますか?
最初の取付けはなるべく販売店さんにやってもらう事をオススメします。
外す際はネジを2本外してもらえればコラムスペーサーに挟んでいる根元のプレートを除いて外すことができる。残るプレートもステムの真下に隠れるので違和感も無いよ。


※3枚のプレートが重なっており、ネジを外せば根元のプレート以外は車体から取り外せる。根元のプレートもステムの真下に隠れ目立たない位置に来る。外して乗りたい時もあるユーザーにも便利です。

★:開発で苦労した点をおしえてくだい
★君も勘違いしていたようにこれが「キャリアではない」ということを伝えるには受けの部分をどう作るか、という点で苦労しました。
受け部分を小さく作ると荷物を載せる物ではないと視覚的に伝わるけど鞄の端は垂れ下がってしまい形が歪になってしまう。これではサポーター本来の目的を果たせておらず本末転倒になっちゃうよね。
反対に大きく作れば荷物を載せても大丈夫!と思っちゃうよね。それはそれで困るわけで。
構造上、コラムスペーサーに嵌めて締めているだけなので固定力はないんだ。
あくまでサポーターだからね。

※FBS-1のバックの底を受けるプレート。サポートが目的であり載せる場所ではないことに注意!

★:試作品と比べるとネジが後ろから絞めるようになっていますね。これにも意図が?
いいところに気が付いたね。いや、見れば流石に気が付くか(笑
もちろん理由はあるよ。ネジ位置が裏にあるのはネジの頭と鞄が擦れて敗れるのを防ぐため。表にあればネジは締めやすいと思うけどサポーターの目的を考えれば裏にあるのが正解だと思うかな。


※ネジ位置の比較。試作品(上)はネジを前方から止め、ヘッドの部分が前方に残ってしまう。対して製品版(下)は後ろから通して前方に突き出す部分はなく鞄が擦れることも無い。見た目もスマートになっている。

★:FBS-1にもライトを取り付けられる穴がありますね。あれ、3か所も?
「GP-1」同様に鞄の下にライトがくるようにし、路面近くから照らすことのできる設計にしてあるんだ。
前回も解説したけどライトはなるべく路面近くから照らした方が見やすくて安全だからね。
自転車はハンドルの位置にライトを付けていることが多いけど本来は前輪と同じくらいの高さに来ることが理想なんだ。電車や車もそれくらいの位置にあるでしょ?

※FBS-1 ライト取付け例、鞄の下から路面を照らすことが出来るので、安全性が増す。

3か所にライトが取り付けられるようにしているのは、フレームサイズの小さい小柄の人が中央位置に取り付けるとフロントタイヤと干渉してしまう可能性があるから。その場合、中央から逃がして左右どちらかの穴に取りつけられるように考えてあるんだ。


※FBS-1 ライト取付け部、3か所の穴が開いており中央、左右どちらにもライトを取り付けられる。中央ではタイヤに干渉してしまった場合でも左右に逃がすことで取り付けが可能。

★:耐久性は十分ですか?
それはもちろん。サポーターという位置づけだけど耐久性が無いわけではないよ。
最大で3つのライトを付けたときに耐えうる強度を想定しています。
ただ、重ねて言うけど「サポーター」だからね!

★:素材は…鉄ですかね
だね(笑
鉄で作っているよ。加工もしやすく安価、素晴らしい素材さ!

★:類似品と比較してどうですか?価格面や性能的に
類似品は恐らくないと思うな。
開発経緯でも触れたけどニーズに応じて作るのがFUKAYAとミノウラの取り組みだからね。
「GP-1」もだけど他社と比較して作るのは”DAVOS”のコンセプトではないからね。
これがあったら便利、これがあったら遊びの幅が広がるなどユーザー目線の意見を元に形にしています。

★どのようなシーンで「FBS-1」は使ってもらいたいですか
クロスバイク、ロードバイク、MTBでもフロントバックを使うユーザーであればぜひ使ってもらいたいかな。違いを体験してもらいたい。
ただ、注意点があって現在のところオーバーサイズのコラム径に対応した物のみを扱っています。
主流規格ではあるのでよっぽど問題無いと思うけど購入を検討されているユーザーがいたらまず確認して欲しいかな。ノーマルサイズには対応できません。

★:コラム径…オーバーサイズ…ノーマルサイズ…
ごめん、ごめん。まだ勉強できてない範囲だったかな(笑
もしかすると★君みたいにわからないユーザーもいるかもしれないので後で勉強して記載しておくように!

<コラムについて補足>
フロントフォークのフレーム内部から伸びているステムを装着するシャフトのこと。
コラム径…コラムの直径のことです。コラム側の径とステム側の径が合っていないと自転車に取り付けられません。

<コラムサイズ>
・オーバーサイズ(1-1/8インチ)…コラム径は28.6mm、現在の主流企画。FBS-1はこの規格に併せて作っています。
・ノーマルサイズ(1インチ)…コラム径は25.4mm、クロモリバイクやミニベロで扱われている規格。

★:前回の「GP-1」と組み合わせて使ったりもできますか?
使えない事は無いと思うけど…「GP-1」とはニーズがずれるので用途も当然ずれるかな。
「FBS-1」は荷物を運ぶことは想定しておらず、説明した通りゆるポタ系で使う事が多くなる。
だからキャンプライド未満の位置づけになると思うよ。
ただ、組み合わせていけないというルールは無いよ。自由な発想で使ってもらうのが大事だからね。

★:最後に、FBS-1も”1“とつくのはこれからも進化していくんですか?
新しい遊び方ができてブラッシュアップして欲しいという要望があれば都度対応していくと思います。
ユーザーからの意見があれば我々「FUKAYA」はそれを作っていく会社です。
販売店を介して言って頂ければどんどん取り入れてより良い進化をしていきます。
あまり極端なのは保証できませんが!!(笑

「FUKAYA」はサイクリストの悩みの解決や要望を形にしていきたいと思っています。
製品開発で最も参考になるのは一生懸命自転車で遊んでいるユーザーの皆様です!

★:ありがとうございました!
今回も制作者の情熱が伝わってくる内容でとても勉強になりました!
DAVOSの製品は恐らく写真をぱっと見た時に何に使うものかわからない!!
という事が多いのが正直なところだと思います。(自分もそうなので…)}ただ、だからこそ紹介しなければユーザーの皆様に伝わないのでは!と感じています。
知ればこれからの遊びにピッタリなものが見つかるかもしれません。
反対に知ったからこそ新しい遊びを思いつくかもしれない。
そんな素敵な出会いがあればと思って今後もブログを書いていこうと思います。

引続き「★(ほし)」のブログを宜しくお願い致します!
M先輩も製品レビューも掲載しています。愛用品となっているようです!↓↓↓

http://blog.fukaya-nagoya.co.jp/2019/04/davos_fbs1.html
 


【DAVOS】

フロントバックサポーター FBS-1

フロントバックが垂れ下がってタイヤに当たってしまうのを防ぐサポーター。
ヘッドパーツの上にあるコラムスペーサーの間に挟み込んで取り付けるだけの簡単設置。

レールは上下と前後で調整が出来るため、ほとんどのフレームサイズ・ステム長に対応。
また、ライトホルダーとしても使用可能。
※フロントバックの高さや揺れをサポートする製品です。荷物を積載する製品ではございません。

※本格的な専用マウントが必要なフロントバックには適応しておりませんのでご注意下さい。

価格:¥3,190円(税込)
製品ページはこちら↓↓↓
http://fukaya-nagoya.co.jp/management/product/fbs-1/